2009

No.5

埼玉放射線

■巻頭言

 「会員数減少にみる本会の将来について」


埼玉県放射線技師会  副会長 橋本 里見



 
ここ3、4年本会の会員数が伸び悩んでいます。入会者数は毎年60名から70名程度あり、著しく変化している訳ではありません。では、退会者数はどうでしょう。年平均25名程だったのが、平成16年度から51、17、48、35名となり平成20年度は100名の退会者が出てしまいました。

 会員数の増加が会の発展を表す一つの指標であるならば、会は衰退していると言わざるを得ません。この現状に役員の1人として責任を感じています。とはいえこの現象は全国的で、各都道府県で会員数が増加したところはなかったようで日本放射線技師会も頭を悩ませています。平成20年度は会費滞納者への対応措置をしました。それが最大の理由であることにかわりませんが、他の要因があるかどうか今後調査し対応を検討していきます。

 過去の埼玉放射線技師会記念誌を最近読み、印象に残った先輩診療放射線技師の一文を紹介します。
創立十周年記念誌に掲載されていたものですが、「技師会創立当時に見られた盛り上がりがないのはどういう訳なのだろうか?(中略)アンケート、問い合わせについての返事、会誌の原稿、会費の滞納等々、が集まらないのはどういう訳なのだろうか?年一回の総会に出席しないのはどうしてなのだろうか?会に魅力を失ったと言うのであったならば、どうして魅力を失ったのだろうか。」と記しています。
 創立二十周年記念誌には「会費滞納会員に対して一ヶ月おきに三回の督促状を送った。特に三回目の督促状には自からの意志で入会した会に会費納入の意志がないならば、退会通知を届けるように。(後略)」
 そして会誌三十年記念誌に掲載されたものにいたっては、「放射線技師国家試験を契機に、会員数は飛躍的に増加を見ました。そのために対外的な信用度も増加したと考えたのですが、170名前後の会員を擁した技師会の定期総会が、出席数の2倍近い委任状で、かろうじて成立している姿を、対外関係者が見た時、果して信用度を増してくれるのでしようか。大きな疑問を私は抱いています。」と記されています。過去の役員もみな同じ悩みにかられていたのです。
 私たちの先輩方もそれぞれの時代で満足する会運営はできなかったのかもしれません。また、全ての会員に満足してもらえる事業を計画し行うなど不可能でしょう。年1回でいい、「埼玉県放射線技師会会員で良かった」と思う瞬間を持ってもらいたいです。

 今年度は様々なモダリティにおいて講習会を企画しています。自分が対応している部門での専門的知識を吸収するチャンスであり、友好を深める場となるでしょう。また市民公開講座や医療画像展などは県民に対してのアピールの場でもあります。
 『一期一会』何か得られるものがあり、つながりができるはずです。会員の皆様には講習会、学術大会、総会、医療画像展等本会の事業に積極的に参加し、「なにを望むか」「どうしてほしいか」を気楽に意見してほしいのです。我々役員は数年先を見据えた会運営を行うことを心がけ事業計画を立案していますが、役員だけでは気がつかないことが多々あると思います。会員1人ひとりが会事業に参加し意見することにより本会は発展していきます。未来に向けて多数の診療放射線技師が入会し活躍されることを期待します。