第35回日本診療放射線技師学術大会

国民と共にチーム医療を推進しよう

彩の国から未来へ

NN(ネットワークナウ)連載企画 埼玉への道 10
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第6回 第7回 第8回 第9回 最終回
NNの連載記事をHP用に編集して掲載しています
大会に向けて ― 続・何もない、わけではない ― 
「埼玉への道」最終回です。いよいよ第35回日本診療放射線技師学術大会が開催されます。元号が平成から令和に変わり、記念すべき元年の開催地となった埼玉県。ところが、埼玉のイメージは“東京の隣にある県”という印象くらいかもしれません。しかし、この連載で埼玉にもモノや歴史があることを少しでも知っていただけたでしょうか。
 
 ありきたりな言葉ですが、評価や価値観というのは時代により変化します。そしてそれは歴史が証明しています。かつて世界初のCRが登場した際、デジタルの利点を理解しつつも、国内の評価は冷ややかでした。重くて大きなCRTモニター、縮小された四つ切りのフィルム出力やデジタル強調処理など。それらをいきなり臨床現場で受け入れるには抵抗があっても仕方ありません。しかし、海外で評価され、技術も進み瞬く間に広がりました。現在、国内の医療施設では、フィルムレスによる運用がかなりの数を占めるまでに至っています。
 観光地として年間700万人が訪れる埼玉県川越市、観光スポットである本丸御殿(川越城)は、その時代時代により使用用途が大きく変わりました。江戸幕府が終焉(しゅうえん)を迎え、明治維新により川越城は解体されます。
 しかし、大広間など一部は残され、その用途は市役所→たばこ工場→中学校の体育館として使用されました。
 その後、いまだ現存する御殿があるのは極めてまれであるとして、県の指定文化財になったのはほんの50年ほど前、昭和42年のことです。

   埼玉県で全国大会が開催されることが決まって間もなく、県内の会員でさえ「埼玉か、何もないよね」という言葉が出ていました。直感的に全国の会員が“行ってみたい”と思えるほど、埼玉に魅力があるかと考えれば、確かに厳しいかもしれません。しかし、実際に訪れてていただき、実は“(街もモノも人も)埼玉ってすごいかも”と感じていただければ幸いです。
 県内には約1,300人の会員がいます。忙しい業務の中、研究・技術向上など、自己研さんに励む素晴らしい会員がここにはいます。開催が決まってからの数年間の、大会成功に向けたわれわれスタッフの準備・運営・ポテンシャルの高さに、“何もない”と思われた埼玉が、いずれ評価されるかもしれません。
 かつて片田舎であった武蔵国(埼玉・東京・神奈川の北部)の地が、江戸の時代から日本の中心になると知ったら、大昔の人々は驚かれるでしょう。そして古代武蔵国の中心が埼玉であったことに、現代の方々は驚かれるでしょう。今、この時の評価・価値観というのはとても大切です。それと同時にその価値観というものはあっさりと変わっていくものです。過去・現在を知り、彩の国で医療の未来を感じていただける大会になればと思います。
 スタッフ一同、心から皆さまのお越しをお待ちしております。